

DENTUREX
設立の目的


ーDENTUREX設立の目的ー
1. 自費の総義歯が製作できる若手歯科技工士の育成
2. 自信を持って自費の総義歯を提案できる歯科医師の育成
3. 患者自身が義歯を使いこなせるよう適切なトレーニングを実践できるトレーナーの育成
を主目的として設立しました。
その上で
4. 歯科医療の質的向上と、受講生への持続的な教育・相互支援
5. 歯科医療専門職(歯科医師・歯科技工士・スタッフ)のネットワーク・コミュニティ 形成
を行っていきます。
ー保険の義歯を作る技工士は消滅するー
日本の義歯臨床は、長年にわたり匠の技を持つ歯科技工士によって支えられてきました。しかし、業界全体の高齢化や歯科技工士の減少を背景に、「義歯を作りたい」と志す若い歯科技工士は非常に少なくなっています。現在、多くの商業誌を見ても、その多くは審美系の歯冠補綴やインプラントによる審美補綴ばかりです。義歯の記事で魅力的なものは非常に少ないです。歯科技工士に技術があっても、それが生かされる環境がないことが原因ではないでしょうか。特に保険義歯の製作は、低賃金かつ重労働であるため敬遠されがちであり、多くの技工所が新規の保険義歯製作を受け入れることが難しい状況になってきています。保険の10割で良いから製作してほしいという話が来るという話も出ています。今後は、自費でしか、技工士に義歯を作ってもらうことができない作れない時代が到来する可能性があります。そうなると、これまで以上に歯科医師も歯科技工士も高い技術が求められるようになるでしょう。
しかし、単に良質な義歯を製作し装着するだけでは、患者の満足は得られません。義歯はあくまでも“道具”であり、その機能を最大限に引き出すためには、患者自身が正しく使いこなせることが不可欠です。重要となるのは、治療用義歯による検証とコーチングです。最終義歯を装着する前に、治療用義歯を用いて患者が義歯を使いこなせるかどうかを確認し、その過程で十分な指導を行うことが、患者満足度を大きく左右する。私自身、この考えをQDT誌でも繰り返し述べてきました。しかし、日本の歯科界では、患者に義歯の使い方を体系的に指導する仕組みやコーチングの文化が、ほとんど根付いていないのが現状です。
ー自費の総義歯を製作できる歯科技工士を未来に残すためにー
この現状を変えるために、自信を持って自費義歯治療を患者に提案・提供できる歯科医師を育成し、患者が義歯を使いこなせるよう指導できるトレーナーの育成を行なっていくことが重要だと考えます。自費義歯で患者を満足させることができる体制が歯科医院で作られることで、自費義歯の発注が増え、技術のある技工士がその技術を発揮できる場ができます。そのことで、自費の義歯を作りたいと考える技工士が増える可能性があります。この取り組みは、歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士、歯科助手など、すべてのスタッフが力を合わせるチーム医療の実現なくして成し得ません。業界に危機感を持ち、現状を変えたいと願う方々と共に、「患者満足度の高い総義歯」を次世代に残すための新しい体制を築いていきたいと強く願っています。
ーなぜトレーナーの育成が必要なのかー
一流の芸術家、一流のアスリート、一流の職人の使っている道具を使たっとしても素人がその道具を使いこなすことは不可能に近いです。我々歯科医師は良い道具をつくりさえすれば、患者を満足させることができ高い機能を発揮させることが可能であると思っているのではないでしょうか。一流の方が使っている道具の性能を発揮するためにはその道具を使いこなす能力が必要なのです。
どんな分野においても一流と呼ばれる方々の多くは才能がある上にとてつもない努力をして道具を使いこなす能力を身につけています。それを教えるコーチや師匠と呼ばれる存在がいます。道具を使いこなす能力を発揮するにはその道具の性能を発揮するための使い方があり、それをまず頭で理解し、それを実現できるようにトレーニングをする必要があります。
スポーツでも勉強でも、音楽でも何でも同じですが、やり方だけ教えてできるようになるのはほんの一握りしかいません。同じように教えてもできる人とできない人がいます。勘の良い人は見よう見まねでできるようになってしまいます。
しかし、多くの方は”知っている”→”理解している”→”意識すればできる”→”無意識でできる”という段階を経て能力を身につけていきます。使いこなす能力によって治療結果に差が出ることはかなり昔から明らかになってはいましたが、我々歯科関係者はこれまで義歯の機能を発揮させるために、どのように義歯を使えば良いということをのが良いのかということを患者に教えてきていない。私の知る限りそのような考えはどこの教育機関でも行われていません。患者へのコーチングをこれからは学ぶ必要があると考えます。使いこなすためのコーチングという分野は今後発展していく可能性を秘めていると我々は考えています。